The story

植物で染め、日本でつくる、背景まで語れるデニム。

9-jour.は、植物由来の染色と日本国内での生産にこだわり、つくる人と自然のどちらにも配慮した工程で生まれるデニムブランドです。

「サステナブル」という言葉を使う前に、なぜこの素材を選んだのか。なぜこの工程なのか。
そのすべてに、きちんと理由があることを大切にしています。

9-jour. denim story

もし、デニムが本当の意味で「責任ある服」になれたら?

世界中で愛されているデニム。

しかしその裏側では、

  • 大量の水が使われ
  • 化学染料によって水が汚れ
  • つくる人に無理がかかっている

という現実があります。

9-jour.は2023年から、この構造そのものを見直すデニムづくりを始めました。

素材・生産・染色まで、すべてに理由を

9-jour.は、素材の選び方から、つくる場所、染め方まで、すべての工程に明確な理由を持っています。倫理的な素材調達、環境に配慮した原料、地域に根ざした生産、そして自然由来の染色。その一つひとつが、9-jour.のデニムを形づくっています。

日本で織り、日本で仕立てる

すべてのデニムは、日本国内のパートナー工房で生産。働く人の権利を尊重し、環境に配慮しながら、日本のデニムづくりの伝統と技術を受け継いでいます。

植物と常温水で染める

染色には、植物由来の色と常温の水を使用。日本に古くから伝わる染色技法をもとに、化学薬品に頼らず、時間をかけて丁寧に染め上げます。染色後に出る廃水は、自然を汚さず、生き物が生息できるレベルであることも確認されています。

9-jour. story

9-jour.のデニムは、なぜ「違う」のか。

その理由は、いまのデニム産業の現実を知ることで見えてきます。

Water

私たちが想像する以上に、デニムは水を使っています。

何気なく履いているジーンズ。しかし、その1本ができるまでに、想像をはるかに超える量の水が使われていることをご存じでしょうか。

国連環境計画(UNEP)によると、ジーンズ1本の生産には、平均で約3,000〜4,000リットルの水が必要とされています。

効率的な工場でも約2,000リットル、条件の悪い場合には10,000リットルを超えることもあります。

これは、一人が何年もかけて使う生活用水に匹敵する量です。

水は、すべての工程で使われています

まず、綿花の栽培。デニムに使われるコットンの多くは人工的に灌漑され、すでに水不足に苦しむ地域の水資源を圧迫しています。

次に、染色。一般的なデニムは、合成インディゴや化学薬品を使い、何度も染めて、何度もすすぐ工程を繰り返します。そのたびに、大量の水が消費されます。

さらに、色落としやユーズド加工などの仕上げ工程。ここでも1本あたり数百リットルの水が使われ、処理の難しい排水が生み出されます。

「見えないところ」で起きていること

こうした工程の多くは、私たちの目に触れない場所で行われています。その結果、川や地下水が汚染され、地域の人々の生活や生態系に長期的な影響を与えているケースも少なくありません。

デニムは、便利で、丈夫で、身近な服。だからこそ、その裏側で使われている水の量や、その行き先にも目を向ける必要があると、9-jour.は考えています。

出典 国連環境計画(UNEP)

深刻な環境負荷を生む、化学染料による染色

世界の工業用水汚染の最大20%は、繊維の染色や加工工程によるものだと言われています。

一般的なデニムの染色では、合成インディゴをはじめ、還元剤、重金属、溶剤、安定剤など、多くの化学物質が組み合わされて使用されます。

何度も繰り返される染色とすすぎ

これらの化学染料は、一度で色が定着するわけではありません。何度も染め、何度もすすぐ工程が必要となり、そのたびに大量の水が使われ、強く汚染された排水が生まれます。

適切に処理されない排水の現実

多くの生産国では、こうした排水が十分な処理をされないまま川や土壌、地下水へ流されているのが現状です。その結果、自然環境への長期的なダメージだけでなく、地域に暮らす人々の生活や健康にも影響が及んでいます。

人への影響も無視できない問題

化学物質への継続的な曝露は、工場で働く人々や、工業地帯の周辺に暮らすコミュニティにとって大きな健康リスクとなることも指摘されています。

デニムの色は、ただ「見た目」の問題ではありません。その色が、どんな方法で生まれているのかが、環境と人の未来を大きく左右しています。

出典 欧州議会 Biotechnology Research and Innovation Waste Management Bulletin
Dark blue stripe background

Factory textile

デニム産業が抱える、見えにくい問題

デニムは、世界中でたくさん作られています。

しかし、その生産の裏側は、決して安定したものではありません。

実は、デニムづくりは工場で働く人たちだけでなく、綿花を育てる農家の人たちにとっても、とても負担の大きい仕組みの上に成り立っています。

「早く・たくさん・安く」が生んだひずみ

これまでのデニム産業は、「できるだけ早く」「できるだけ多く」「できるだけ安く」という考え方を優先してきました。

その結果、

  • 織りや縫製、染色を行う工場
  • デニムの原料となる綿花を育てる農家

その両方に、無理がかかる構造ができあがってしまいました。

綿花農家が直面している現実

多くの生産地域では、綿花農家は市場価格の変動に振り回され、十分な収入を得ることができない状況に置かれています。

さらに、大量の水を使う農業や、変化する気候条件によって、農業そのものが年々リスクの高い仕事になっています。

フェアトレードは、農家が安定した収入を得るための大切な仕組みですが、現状では、まだ一部でしか行われていません。

工場で働く人たちの負担

  • 生産スピードが速すぎる
  • 化学薬品を扱う作業が多い
  • 換気が十分でない環境
  • 古い設備のまま働いているケース

こうした環境で、世界中の多くの人がデニムづくりを支えています。しかし、働く人の安全や権利が十分に守られていない場合も少なくありません。

負担を背負っているのは、いつも現場の人たち

この仕組みの中で、価格変動や生産リスクの多くを引き受けているのは、工場で働く人や農家の人たちです。

デニムは身近な服ですが、その裏側では、多くの人が不安定な立場で関わっているという現実があります。

9-jour.は、この状況を「仕方がない」とは考えません。だからこそ、人に無理をさせないデニムのつくり方を、一から考え直しました。

出典 国連 国連大学 CPR Earth Day

デニムのつくり方を、根本から見直す。

人を尊重すること

生産に関わるすべての人の権利と尊厳を大切にし、サプライチェーンのすべての工程において、安全で、公正で、無理のない労働環境を守ります。

自然を尊重すること

天然の植物染料と有機素材を用い、生産量も必要最小限に抑えた限定生産とすることで、環境への負荷をできるだけ小さくします。

地域の職人技を尊重すること

日本各地で受け継がれてきた技術を守り続ける職人と協働し、その専門性と経験を正当に評価するとともに、誇りを持って働ける、公正で尊厳ある環境を大切にします。

着る人を尊重すること

背景がきちんと見える、誠実なものづくりを通して、長く愛用できる、本当に良いデニムを届けます。一時的な流行ではなく、時間とともに価値が増していくことを前提にしています。

素材から、仕上げまで。

9-jour.のデニムができるまでの流れ。

コットンの選択から、デニムづくりは始まります

9-jour.のデニムには、ブルキナファソ産のオーガニックコットンを使用しています。 農薬や化学肥料を使わず、自然や土壌を傷めない方法で育てられたコットンです。 ブルキナファソでは、コットンは人々の生活を支えるとても大切な作物です。 水が限られ、農業環境も厳しいこの国で、コットン栽培は多くの家族の収入源となり、何世代にもわたって受け継がれてきました。 9-jour.のコットンは、日本の織元がフェアトレードで直接買い付けています。これにより、農家は安定した価格で取引でき、長く安心して農業を続けることができます。 また、すべての9-jour.デニムには、「赤と緑のセルビッジ(生地の端)」が入っています。 これは、ブルキナファソ国旗の色です。小さなディテールですが、このデニムがどこで育てられ、どんな想いでつくられているのかを静かに伝えるサインでもあります。
Burkina Faso organic cotton

日本で織り、日本で仕立てる理由

9-jour.のデニムはすべて、日本国内のパートナー工房で織られ、仕立てられています。 技術力や経験だけでなく、人や環境を大切にする姿勢を共有できる工房とだけ、ものづくりを行っています。 日本で生産することは、私たちの意識的な選択です。 糸から生地、そして一着のデニムになるまで、すべての工程を把握できることで、確かな品質管理と、働く環境への配慮が可能になります。 私たちは、大量生産を行う工場ではなく、人の手が行き届く規模の工房と協力しています。 そこでは、スピードよりも丁寧さを、効率よりも確かさを大切にし、時間をかけて、良いものをつくるという考えが守られています。 つくり手との距離が近いからこそ、工程を深く理解し、細部まで目を配ることができます。 それは、日本が長く培ってきた精密で、長く使えるものづくりの文化を未来へと受け継いでいくことでもあります。
Fabric made in Japan

色は、つくるものではなく育てるもの

9-jour.のデニムはすべて、植物由来の染料と常温水で染めています。 この染色を手がけるのは、京都に工房を構える川端商店。 現在、世界で唯一、「新万葉染め(Shin Manyo-zome)」という技法を受け継ぎ、実践している工房です。 京都の町中にある工房で、川端氏は、土地に根ざした植物を使い、古くから伝わる方法で、ひとつひとつ丁寧に染めを行っています。 ここでは、色を人工的につくることも、均一に揃えることも目的としません。 植物の色は、水の中で、時間をかけて、少しずつ引き出されます。 染料は何度も手作業で重ねられ、化学薬品で無理に定着させることはありません。 余分なエネルギーも使わず、植物と水の力だけで、自然にコットンへと染み込ませていきます。 この染色には、素材を理解する深い知識と、自然とのバランスを見極める感覚が欠かせません。 目指しているのは「同じ色」ではなく、その素材にとって、いちばん美しい色。 その結果生まれるのは、表情に奥行きがあり、時間とともに変化し、育っていくデニムです。 この考えに共感し、9-jour.は川端商店と密に連携しています。 すべての9-jour.デニムは、一着ずつ、この新万葉染めで個別に染色されています。 工房のリズムを尊重し、職人の手仕事と、自然の流れに寄り添いながら、急がず、無理をせず、命ある色をデニムに宿す。 それが、9-jour.の染色です。
Plant dye denim

必要な分だけつくり、長く着ることを前提に考える

9-jour.は、受注生産という形でデニムをつくっています。 それは、過剰な生産を避け、職人の手仕事に本当に必要な時間を守るためです。 大量生産や在庫ありきのものづくりではなく、一着一着、ご注文をいただいてから縫製・染色の工程を丁寧に進めていきます。 また、9-jour.のデニムは「つくって終わり」ではありません。 長く着続けられることを前提に、修理がしやすい設計、直しながら使える構造を大切にしています。 カッティングや縫製、素材の選び方にも理由があります。 それは、服の寿命を縮めるのではなく、時間とともに育てていくためです。 そして、役目を終えたあとも。不要なパーツを極力使わず、素材を分けやすい構造にすることで、より責任ある形で次の工程へつなげられるよう考えています。 つくる量は少なく、質は高く。 直し、育て、長く寄り添える一着を。それが、9-jour.が考える現実的で、誠実なデニムのあり方です。
Made to order denim

自然にやさしいことを、科学的に検証

9-jour.が採用する「新万葉染め」は、環境への負荷が極めて低い染色方法であることが、第三者による科学的検証によって確認されています。 私たちは「環境にやさしい」という言葉だけに頼りません。 そのため、京都の老舗染工所と三重大学・京都技術研究所の産学連携し、新万葉染めの工程で出た水が、生きものにどんな影響を与えるのかを調べました。 テストでは、水の安全性を調べるために世界中で使われている小さな魚(ゼブラフィッシュ)の卵を使用。新万葉染めの排水に触れさせて観察しました。 その結果、有害な影響は見られず、魚の卵は問題なく成長しました。 一方で、一般的な化学染料の排水を使った場合は、1日も経たないうちにすべてが死んでしまうという結果が出ています。 この違いは、これまでの染色方法が自然にどれだけ負担をかけてきたかをはっきりと示しています。 そして同時に、水を汚さず、いのちを傷つけない染め方があるということも証明しています。 感覚や言葉ではなく、事実をもとにしたものづくり。 それが、9-jour.の考える責任あるデニムづくりです。
Scientific test

透明性を大切にし、少しずつでも前に進む

9-jour.は、ものづくりの透明性をとても大切にしています。 素材の選び方、工房のこと、製造方法。どんな選択にも、必ずメリットと課題があります。 私たちの役割は、それを隠さずに伝え、より良い選択を探し続けることだと考えています。 使用している素材の産地や、どこで、どのようにつくられているのか。 そして、現時点ではまだ完璧ではない部分がある場合も、その事実を正直に共有します。 そうすることで、職人、パートナー、そしてお客様と正直な対話ができると信じています。 もし改善できる点が見つかれば、環境への影響であれ、服の耐久性であれ、生産環境であれ、無理に急ぐことなく、現実的な形で取り入れていきます。 大きな言葉や過剰な約束ではなく、事実をもとに、少しずつ良くしていく。 変わり続けることを前提にした、時間のかかる、責任あるものづくり。 それが、9-jour.の姿勢です。
Transparency

妥協のない着心地と、確かな品質を追求する

9-jour.は、長年デニムづくりに向き合ってきた日本の熟練した織り手とともに、生地づくりを行っています。 使用するオーガニックコットンは、強さ・均一さ・やわらかさのバランスを見極めて選ばれたもの。 丁寧に紡がれた糸は、昔ながらのシャトル織機でゆっくりと織り上げられます。 時間と手間のかかるこの織り方は、繊維の構造を傷めにくく、生地の安定感と耐久性を高めてくれます。 こうして生まれるのが、密度が高く、丈夫で、それでいて着るほどにやわらかくなるセルヴィッジデニムです。 最初はしっかりとした張りがあり、着続けるうちに自然と体になじんでいく。型崩れしにくく、毎日の生活の中で本当の意味での心地よさを感じられます。 糸から生地まで、素材を深く理解しているからこそ、9-jour.は長く着ることを前提にした、丈夫で快適なデニムをつくることができます。 流行で買い替えるのではなく、時間を重ねて育てていく一着を。
Selvedge denim quality

デニムのつくり方を、根本から見直す。

なぜ、デニムなのか

新しい価値を伝えるための「キャンバス」

デニムは、世界中で着られている、とても身近な服です。年齢や性別、国や文化を問わず、多くの人の毎日に寄り添ってきました。

着ていくうちに少しずつ色が変わり、体になじんでいく。デニムは、使う人の時間や暮らしを自然と映し出します。

だから9-jour.は、デニムを選びました。流行をつくるためではなく、考え方や価値を伝えるための服として。

本来、デニムは丈夫で長く着るための服でした。しかし今では、大量につくられ、短い期間で消費される存在にもなっています。

「もっと大切に、長く着る服に戻せないだろうか」
「日常の服だからこそ、選び方を変えられないだろうか」

9-jour.は、デニムを通して伝えたいのです。毎日着る服こそ、意味を持てるということを。

着心地も、品質も、見た目も。どれも妥協せずにつくる。それが、9-jour.の考えるデニムです。

Raw denim
21 natural colors

日本の季節から生まれた、21の色

9-jour.のデニムは、植物だけを使って染めています。その色のヒントにしているのが、日本の自然と季節の変化です。

日本の季節は、はっきりと区切られるものではなく、少しずつ移り変わっていきます。

そうした微妙な変化の中に、たくさんの色があります。

9-jour.は、その移ろいをそのままデニムの色にしました。こうして生まれたのが、日本の季節とつながる21色です。

植物で染めているため、色は自然に生まれ、すべてが同じにはなりません。それは欠点ではなく、自然から生まれた色である証だと考えています。

髙田 浩(Takada Hiroshi)|創業者

急がず、素材と向き合い、時間をかけて仕上げる

9-jour.は、「美しさは、誠実な手仕事から生まれる」という考えのもとに生まれました。

服づくりや色づくりの背景には、日本に受け継がれてきた技術や感覚があります。

大量につくるのではなく、必要な分だけ。すべてを隠さず、正直に伝えながら、着る人とともに育っていく。

等身大で、長く続くものづくりを目指しています。

Founder portrait